【ネタバレなし】タイムトラベルを繰り返したエージェントが最後に見たものとは【プリデスティネーション】
久しぶりにSFとして素直に面白いと思える作品に出会えた。
イーサン・ホーク主演「プリデスティネーション」だ。
予告編とあらすじ
時間と場所を自在に移動できる政府のエージェントが、凶悪な連続爆弾魔を追うためタイムトラベルを繰り返す姿を描いたSFサスペンス。
SF小説からの映像化
映像作品を観た後で、原作の「輪廻の蛇」を読んだ。
ロバート・A・ハインラインの短編小説で、本当に短くサクッと読めてしまう。
非常に面白く、原作小説からの映像化という点においても文句なし、最高の仕上がりだと言っていいだろう。
原作が短編という事もあり、映画化するにあたって、エンターテイメントとして、短編小説にありがちな途中で投げっぱなしにして終わらせる事なく、分かりやすく楽しませ、しっかり物語として締める必要があったと思う。
そのため原作の世界観を膨らませ、脚色する事になるわけだが、今作は原作のテーマを歪める事なく、正しく補完し、分かりやすく、そして原作の延長線上として、もう一捻り打ち出してきているのが素晴らしい。
また、ネタバレを避ける為、詳細は省くが、小説という活字媒体でなければ成立しない部分を、映像化するにあたって、どういう消化するか。そのへんもしっかり納得の出来る辻褄合わせをしていて非常に良かった。
俳優の演技力が秀逸
メインキャストであるイーサン・ホークとサラ・スヌークの演技力もまた素晴らしかった。
今作はSF作品ではあるものの、映画としては低予算の部類に入り、それほど凝ったVFXなどの映像効果はない。にも関わらず、複雑なSF設定に説得力があり、緊迫するストーリー展開がある。
それは全て彼らの演技力から来るものだと思う。彼らの細かい表情の変化にも注目してもらえると、さらに楽しめるだろう。
プリデスティネーションとは「宿命」という意味で、原作小説の「輪廻の蛇」とは、自らの尾を喰らう蛇(竜)ウロボロスを指す。
ウロボロスには、無限、再生、循環、死と再生という意味がある。
SF作品が好きな人ならきっと気にいると思う。まずは予備知識なしで、観てもらいたい。
ちなみに私は字幕を1回、吹替を2回観て、その後原作小説を読破。そして今回字幕をもう1回観た。何回でも観たいと思えるし、できる事なら記憶を消してネタバレを忘れて、もう一度あの衝撃を味わいたいと思う。
2024年10月現在。Youtubeで字幕版、吹替版共に無料で視聴する事ができるので是非。