瞑想すると何故仕事や勉強に集中できるようになるのか?瞑想と集中のメカニズムを知る【4 FOCUS 脳が冴えわたる4つの集中】
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瞑想を取り入れて1ヶ月以上が過ぎ、現在もほぼ毎日行っている。直後のスッキリした感覚や、普段の生活で脳内の思考が静かになったような感覚を得る事ができ、瞑想を取り入れる前よりも仕事に集中できるようになったと強く感じている。
しかし、ここで素朴な疑問が湧いてくる。
なぜ瞑想をすると仕事や勉強の集中力が高まるのだろうか?
前書「頭を「からっぽ」にするレッスン」は瞑想のやり方を分かりやすく、簡単な方法から徐々にステップアップし、最終的に本格的な瞑想方法を獲得する事ができるという点で非常に優れていると思う。
ただロジックとして、科学的な観点として、瞑想が集中力を高めてくれる根拠が示される事はなかった。
「理屈はどうであれ、結果的に求める集中力が獲得できたのだから、それでいいじゃないか?」
という意見もあるかもしれないが、論理的に咀嚼して、腑に落ちる状態として納得したい性分の私としては、ここを曖昧にしたくない。
そんな私が求める答えを、分かりやすく言語化してくれたのが本書「4 FOCUS 脳が冴えわたる4つの集中」だ。
二人の自分の正体
瞑想をしている時、私は脳内に二人の自分がいるという表現を使った。
考え方としては、勝手に湧き上がる思念を生み出す自分とは別に、それを俯瞰で冷静な視点で眺める主軸としての自分をイメージするのが良いだろう。
これは私の中に二重人格が存在しているという意味ではなく、脳科学的に説明すると、脳には以下の神経活動があるからだ。
- 無意識に雑念が湧き上がるような状態を「デフォルト・モード・ネットワーク(以下、DMNと略す)」
- 注意や意識を向けている状態を「セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(以下、CENと略す)」
- DMNとCENを切り替える役割を持つ「サリエンス・ネットワーク(以下、SNと略す)」
瞑想とは普段、DMNとCENがゴチャゴチャと混在している状況を、SNによってコントロールし、DMNを抑えて、CENに集中するトレーニングという事になる。
私はDMNとCENを、二人の自分と表現した事になる。
集中には4つある
続いて、集中力について解説していきたい。
本書では、集中には4種類のモードがあると説明する。それらは「内側・外側」と「狭い・広い」の2つの軸によって構成されていて
- 内側に狭い集中:記銘集中
- 外側に狭い集中:入門集中
- 内側に広い集中:自在集中
- 外側に広い集中:俯瞰集中
とそれぞれ命名されている。
「内側・外側」とは
- 内側:自分自身の思考や身体
- 外側:自分以外の外界の全て
「狭い・広い」とは
- 狭い:注意や意識に集中している神経活動CEN主体
- 広い:無意識に思念や雑念を遊ばせるような神経活動DMN主体
私達が、仕事や勉強をする時に高めたいと考えている、一般的な「集中力」とは、外側に狭い、目の前の課題に意識の力で取り組む「入門集中」に該当する。
では、瞑想はどこに該当するかと言うと「入門集中」ではなく、内側に狭い、自身の内面に意識を集中させる「記銘集中」に該当する。
記銘集中の瞑想で入門集中が高まる理由
ではなぜ、記銘集中の瞑想を続けていくと、異なる集中であるはずの入門集中が高まるのか?
これはどちらも「狭く」というCENに集中するという共通点がある事と、もう一つの「内側と外側」という軸についてはスイッチが容易であるという事が大きいと考えられる。
意識を集中させる対象を自分自身に向けるか、外界の情報に向けるかの切り替えは、私の経験でも、とても簡単だと感じている。それどころか内側と外側を行ったり来たりする事も容易にできてしまう。
逆に難しいのは「狭く・広く」の神経活動のCENとDMNを切り替える作業だろう。特に行ったり来たりする作業はかなり困難だといえる。
瞑想において、雑念であるDMNを鎮め、CENに集中する事がなかなか難しいのもその為だろう。
視点を変える事は簡単だが、思考の基本ベースを切り替える事は難しいという事になるのだと思う。
まとめ
- 瞑想とは無意識の神経活動を抑え、意識の神経活動に集中する脳のトレーニングである。
- 瞑想による「記銘集中」と、一般的な集中力といわれる「入門集中」はCENを主体とする事から、切り替えや行き来が容易である。その事から瞑想を続けると、同時に一般的な集中力が磨かれるものと考えられる。
本書では、まだまだ面白い内容が盛りだくさんとなっていて、今回、触れる事の出来なかったDMN主体の「広い」集中について、次回記事にできたらと思っている。
今回のように、異なる別の書籍が、自分の求めるテーマにおいてリンクしていると感じた瞬間が、読書の醍醐味だと言える。
ちなみに、本書とは別の三冊目を現在読んでいるが、こちらも見事に「瞑想」を軸にリンクしているので、いずれ紹介できればと思う。